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創作小説と、「オペラ座の怪人」二次創作小説を載せているブログです ※「Menu」または小説本編をご覧になるには、下へスクロール
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 「っあー、それにしても、どうすんの、陸さん?」

ダロガが、ソファにふんぞり返りるように座る陸に尋ねた。
陸の隣には、ダロガのルームメイトで高校一年生の榊・ラウル・広一がお菓子を片手に座っている。
口をもぐもぐ動かしながら喋っている。

「主役いないんじゃ成り立ちませんしねー。」

「誰かさんがあんなことを言うからだろ。」
ダロガが遠い目で天井を見上げた。

・・・・・・・・・・・・・・・・

千歳が運ばれた後、ダロガたちは加代子に向き直った。仕切りなおしだ。

「なんか、余計ややこしいことになっちゃって…うん、練習中にごめん。」

ダロガは誤魔化しながらなんとか加代子に謝って、陸の方にも促したが、断固拒否だった。
一方の加代子は冷たい視線をダロガに向ける。

「は?あんた、今日のこと謝りに来たんじゃないの?その謝罪が足りないんですけど。」

ダロガは殴りかかりたい衝動をぐっとこらえて、

「…ご、め…んなさ、い。」

と世にも恐ろしい顔で呟いた後、小さく舌打ちした。
すかさず陸がダロガの足を踏んできたが、ダロガは知らぬふりをした。

「なにその、形だけって感じの謝り方。超むかつくんだけど。
 でももういい…時間も無駄だしー。とりあえず学園祭まで一緒に頑張ろーってことで、」

「ちょっと待ちたまえ。」

ここで初めて陸が加代子に向けて言葉を発した。
なぜか陸が発言するとその場がしんと静まり返り、全員が陸を見る。

「…なによ。」

「『一緒に』とは…どういうことだね。」

加代子は気味悪そうに陸を見て、
「そのまんまの意味なんだけど。
 私は主役で、あんたたちが舞台をつくって、「そこなんだがね、」

突然陸が加代子の言葉をさえぎった。
「なにか、勘違いをしているようだ、マドモアゼル?」

「な、なにが…?」

困惑した顔の加代子を陸はまっすぐ見据えて、

「君に主役はさせない、以上だっ!」

と叫んだ。

一瞬の間の後、加代子はヒステリックに
「もう一回行ってみなさいよ、この仮面やろーっ」
と叫びながら暴れだしたので、部員たちに取り押さえられた。

そしてダロガ、陸の2人はそそくさとその場から逃げ去り、その姿をマダム井田はため息をつきながら見つめていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・

場面はダロガの部屋に戻る。

「なあ、陸、主役どうすんだよ?何か考えがあっての行動だろうな?」
ダロガは少々イライラしながら、何もしゃべらない陸に尋ねた。

「…。」

しかし、陸からの返答はなくダロガはそろそろ我慢できなくなった。

「おい!聞いてんのか!」

「少し静かにしたまえ。」

「ああ!?」

陸は冷ややかな目でダロガを見て、静かに立ち上がった。

ダロガとラウルは予想できない陸の動きに少し身構えたが、
陸はとくに何をするわけでもなく静かに歩き始めて、
ダロガの横を通り過ぎて部屋の壁の前で立ち止まった。

そして壁を3回ノックすると、かちっと音がして壁の一部が回転し始めた。

「な、なんだよ、これっ」

ちょうど人一人が通れるほどの穴がぽっかりと開くと、動きは止まった。
陸はニヤリと笑って、情けないほどに口をポカンと開けた2人の方を振り返り、

「主役を捕まえてきてあげよう。」

と言って穴の中に入ろうとして、思い出したかのようにもう一度振り返って
「すまないね、ダロガさん。
しかし君のプライバシーは一部のマニアに高く売れるのだよ。」
と笑い、ブレザーの内ポケットからすばやくデジカメを取り出し、相変わらずぽかんとしているダロガを撮って穴の中へと消えた。


3秒後、我に返ったダロガの、
「ゴルァアアアア 仮面ヤローっ、どこ行きやがったぁぁあ!!」
という叫び声が寮内に響き渡り、
血眼になって陸を探すダロガの姿を見た者はみんな口をそろえて

「ナマハゲを見た。」

と、寮監督に報告したという。


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