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創作小説と、「オペラ座の怪人」二次創作小説を載せているブログです ※「Menu」または小説本編をご覧になるには、下へスクロール
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 数年前、師匠が失踪した。
僕の家の電話の留守電に、
「ちょっと行ってくる。」
とだけ残して、その後いなくなった。連絡も取れなくなった。
僕は特に心配していなかった。
師匠の性格を考えると、突然いなくなったりしてもなんの不思議もないから。
仕事柄から、いつ死んでもおかしくないが…。
とりあえず、半分「どこかでバカをしているだろう。」と思い、
半分「死んでしまったかもしれない。」と思っていた。

 すると、今朝、僕の家に警察から連絡が入った。
事情を聴いて僕は嫌々ながら、でもかなり驚きつつ連絡のあった警察署へ向かった。
 
 「やほー、元気?」
手続きなど大量の書類を片付けると、やっとのことで師匠本人に面会する事ができた。
僕は複雑な思いで師匠の顔を見た。観た。
「師匠、正気ですか。」
聞くまでもなく、師匠は正気だった。顔に表れていた。
しかし、聞かずにはいられなかった。
師匠は笑顔をまったく崩さずに頷いた。
僕は何を聞けばよいのか分からなかったが、ここまで来た以上は何か得るべきだと思った。
「師匠…、今までどこにいたんですか。」
師匠は斜め上の天井を見上げ、うなった。
「いろんな所に行った。国外も行った。」
僕は意味が分からなかった。
「で、どうして突然警察にいるんですか。意味が分からないです。」
師匠は笑っている。目が輝いている。
こんな目をするのは、師匠の思い通りに会話が進んでいる証拠だ。
「言ったじゃん。チャリ盗んだの。」
「なんのために…?」
師匠は人差し指をぴんと立てて、嬉しそうに、
「反省だよ。」
と言った。この人は『反省』という言葉の意味を知っているのだろうか。
「何の反省ですか?」
師匠は突然おとなしくなった。そして、ゆっくりとつぶやくように言った。
「20年位前の、反省。」 

 僕は、師匠の話を聞くことにした。

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