創作小説と、「オペラ座の怪人」二次創作小説を載せているブログです
※「Menu」または小説本編をご覧になるには、下へスクロール
『ややしいことにしてくれたな、まったく』
そんな視線を全身に感じながら、ダロガと陸はそそくさと教室を出て、
荷物を持って早々と昇降口に降りてきたのだった。
「何があろうと、私は決して謝らんぞ。」
きっぱりと言った陸にダロガは苦笑いを浮かべて言う。
「でもどうなの?このまま学園祭まで過ごすのも厳しくない?」
「じゃあ君が1人で行きたまえよ。」
「なんでだよ。ケンカ売ったのはおまえだろ。」
「いいや、売ってきたのはあの女だ!私は安かったから買っただけだ。」
「結局お前は買ったじゃねぇか!はっきり言って俺は悪くねぇし!」
「よくもそんなことが言えたものだな!?
ほとぼりが冷めかかってたのにまた油を注ぎおって!」
「注いでねぇよ!俺は純粋に思ったことを言っただけだ。」
「では空気を読むことを知らぬというのだな!困ったペルシア人だ。」
「るっせえっ鉄仮面。」
「鉄って…私の顔の筋肉を過信しすぎだろう。」
「将来、人の100倍シワ増えろ。」
「衰えてたまるものかっ。」
ぎゃーぎゃー騒ぐ2人の前に、呆れた顔で井田が立っていた。
「ちょっと、よろしいかしら。」
優雅な物言いで、しかし有無を言わせぬ調子で井田は2人の会話を止めた。
陸が、おや、と一歩前に出る。いつも通りの得意げな笑みを浮かべて、
「これはこれはマダム井田…わざわざこんな所まで、どうしました?」
「わかっているくせに、空々しいわね。」
井田はいらだった顔で陸を見る。陸の左半分の顔がひきつった。
「お、おい、なんだね、その物騒な顔は…わかってるよ、あの女の顔だろう?」
ダロガは自分以外の人間相手にひるむ陸をはじめて見たので、少々驚いていた。
「あの女じゃないわよ。加代子です!」
ダロガと陸はあからさまに嫌な顔をして互いを見た。
二人とも目で「お前が行けよ。」と言っている。
見かねた井田はさらに物騒な顔をして、
「責任は2人でとってもらいますから。今からね!」
と、きっぱりと言い切った。
ダロガが「…あの、」と声をかけたが、ギロリと睨まれたので、
泣きそうな顔で、
「行きましょう、加代子さんのところへ。」
と言ってしまった。(この後、陸にはたかれた。)
PR