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創作小説と、「オペラ座の怪人」二次創作小説を載せているブログです ※「Menu」または小説本編をご覧になるには、下へスクロール
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 各文化部の活動は主に部活棟で行われている。
その中でも最大勢力を誇る歌劇部はガルニエ学園の講堂棟全フロアを占領しており、1階から舞台のある4階までを好きに使っている。歌劇部に逆らえる部活はなく、過去に歌劇部に食って掛かった映画研究部は、講堂棟からはるか離れた場所にある小屋に部室の移動を余儀なくされた。という噂もある。

そして、加代子はその歌劇部のプリマドンナである。

 講堂棟に入ると、そこではみんなが忙しく働いていた。

1階では背景の作成や、その他大道具や小道具の準備がされていた。
ダロガは3回、陸は2回ベニヤ板で頭をぶたれた。

2階では衣装作りが行われていた。
メジャーや針、裁ちばさみを持って走り回る女子を見て、陸とダロガは呆気にとられた。
井田は颯爽とその隣を進んで階段を上っていく。
普段は演技やバレエ、コーラスの稽古が行われている3階を通り過ぎ、そして合同稽古が行われている4階の舞台に着いた。暗い舞台のそでを通って、加代子たちがいる舞台へと向かう。

ダロガが井田に尋ねる。
「まだ夏なのに、もう通し練習でもするんですか?」
ダロガは自然と井田に対して敬語を使うようになっていた。

井田は相変わらず凛とした表情で、
「まさか…。今日はいわゆるミーティングよ。」

陸が横目で井田を見る。
「君はいなくていいのかね。君…バレエのリーダーだろう。」
ダロガは「え。」と漏らした。井田は片方の眉をピクリと動かし、
「なんであなたが知ってるのよ。」

陸は「有名だろう。」とか何とか言って誤魔化していた。
ダロガが不思議そうに陸を見ていた時、金切り声がその場に響き渡った。

「もう!信じらんない、マジで!!やってらんないっ!帰る!!」

金属音のように頭にキーンと響くような声で泣きわめきながら、加代子が3人の前に飛び出してきた。3人はぽかんと口を開けたままその場に固まってしまった。

おいおい泣いている加代子の後ろから、ハンプティダンプティのような体型の男が追いかけてきた。
「加代子!お願いだから戻ってくれ!」

「嫌だ!もう2度と戻んない!」
加代子は舞台のそでに下がっている分厚い幕に泣きついている。
ハンプティダンプティの後ろでは、舞台から数十人もの歌劇部員がこちらの様子をうかがっていた。

「おい、加代子…お前が歌わないと誰が歌うんだ?代わりなんていないじゃないか。」

加代子は幕から顔をあげてハンプティダンプティのほうを振りかえり、
「安蔵はいつもそればっかり!もっと気のきいたこと言えないわけぇ!?」
とヒステリックに叫んだ。

「あいつ、『寺田安蔵』というのか。奇妙な名前だな。」

その言葉はやけに響いてしまった。
その場にいた全員が発言者・陸を見た。
ダロガは見たついでに陸の足を思いっきり踏んでやった。

「痛っ「ああ!あんたたち!!」

陸が顔をゆがめたのと同時に、加代子がやっと3人に気づいた。
加代子は先頭の井田を通り越して2人を睨んでいる。
「何…どうしてここに来たわけっ?」

陸とダロガは、えっと、いや、とか言いながら互いをひじでつつき合っていた。
見かねた井田がきっぱりと、
「お話があるそうよ。」
と言ってしまったので、2人は後に引き下がれなくなった。

一方の加代子は眉をひそめて、
「はあ?何よ、今更。何を話すって言うのよっ!?」
とキーキー叫んだ。

しかし、それも聞かずに2人は小さな声で争いだした。
「お前が謝れ。」

「断る。私は断固として頭は下げんぞ。」

「じゃあ、頭あげたままでもいいから、一言言ってこい。」

「そういう問題ではなかろう。私は謝らない。君が行け。」

「何でだよ。じゃあ、オレが『ごめん』っていうから、お前『なさい。』って言えよ。」

「どういうことだね。間接的に謝れというのか。」

「…謝りたくないって言うから。」

そして、2人の声はだんだんと大きくなって、
「何があっても!私は何も言いたくないのだっ!私には守るべきメンツというものがある!!」

「はあ!?メンツってお前、半分顔隠してる奴が何言ってんだよ!」

「ここでそれは関係なかろう!ごたごた言わずに君が早く行って謝れ!」

「じゃあ俺だってメンツがつぶれんの嫌だよ!」

「君は顔面が怖すぎるんだから一回つぶれたほうが君のためだっ」

「何で物理的になんだよ、変態仮面このやろ」

ギャーギャー喚く2人に対して、井田の堪忍袋の緒が切れかかったその時、

バターーーーーーーーーーーンッ

「「え?」」

大きな音がして、その場が静まり返った。
そして、1人の女子生徒の声が響いた。

「先生ーっ、神田さんが鼻血出して倒れましたーー!」



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