創作小説と、「オペラ座の怪人」二次創作小説を載せているブログです
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「とにかく、謝って来たほうがいいって!」
放課後の昇降口で、元・生徒会長の大道が顔面蒼白でダロガと陸に詰め寄った。
「なんで私がわざわざあのわがまま女に謝らねばならんのだ。」
陸はフンとそっぽを向いて行く手をさえぎる大道を無理やり突破しようとした。
だが、大道も負けじと一歩もひこうとしない。
「お前、事の重大性が分かってないんだよ…。
オレが生徒会長してた時、あの女のせいでどんなに苦労したことか。」
ダロガが苦笑いを浮かべる。
「そんなにひどいことをされたのか。」
大道は大きくため息をついて、ごにょごにょと呟いた。
「まあ、ね…だって順調にいってたらさ、あんな不名誉な歴史を作んないよ。
『学園史上初の生徒会長辞任』!あーあ、国会じゃあるまいし…なあ?」
そして、そのまま大道は本来の目的を忘れてうつむき気味にどこかへ去って行った。
そんな大道を陸は冷たい目で見ながら、ダロガにきっぱりと言った。
「なにがあろうと私は謝らんぞ。」
ダロガはまたもや苦笑いを浮かべて、陸を見た。
「別に、あなたが主役をしなくてもいいですけど?」
陸が涼しい顔でそう言うと、例の女子生徒は一瞬面喰った顔をしたが、
すぐに眉間にしわを寄せて低い声で言った。
「は?何言ってんの?私以外に主役なんて誰がすんの?」
陸はいたって普通の表情で、
「誰が主役をするかなんて今の状況ではまだ決められなかろう。」
すると女子生徒は無理に笑顔を作りながら、猫なで声で陸に静かに言う。
「あ、あ、ちょっと待ってよ、監督さん。あのぉ、よく分かってないみたいだけど…
私、こう見えても歌劇部のプリマドンナなの…よ。
でぇ、そんな私を差し置いて他の子が主役だなんて…ちょっとおかしくない?
やっぱり、主役になった子だってやりにくいでしょ?
どうせなら、最優秀賞とりたいでしょ。ねぇ?」
学園祭ではクラスごとに出し物を出すが、
最終日の終わりにはその中で最優秀クラスが選ばれることになっている。
陸は珍しく空気を読んで、話をどうにかまとめようとした。
「まあ、主役のことならあとあと話すとして…もう今日はよかろう。」
例の女子生徒は若干すっきりしない顔をしつつも静かになった。
陸がもう嫌だという顔でダロガを見て、終わらせろ、という視線を送った。
するとダロガはぽつんと言った。
「まあ、あなたを主役にしたって最優秀とれる保証はないですけどね。」
例の女子生徒の顔が凍った。周りも凍った。
ダロガだけが凍っていなくて、今日は終わりましょうか、とか言っていた。
例の女子生徒が「何よ…意味分かんない!」と叫んで教室を出て行ったのはそのすぐ後だった。
ぽかんとしているダロガに、陸が
「君は本当に馬鹿だな。」
とため息交じりに言って、その他大勢も大きく頷いていた。
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