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創作小説と、「オペラ座の怪人」二次創作小説を載せているブログです ※「Menu」または小説本編をご覧になるには、下へスクロール
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 父の顔も、母の顔も覚えていない。それほど幼いころから、私は祖父母によって育てられてきた。らしい。というのも、私の中の幼いころの記憶はまったくないからだ。だから、父と母が交通事故で死んだという話も本当かどうかわからない。私はただ、言われてきたことを信じることしかできない。

 私は奨学金をもらって大学、大学院へと進学し、今では地元の自然史博物館に学芸員として勤務している。祖父母だって若くない。就職と同時に、私は一人暮らしをやめて再び2人と暮らすようになった。

 私の家系は芸術に秀でていた。祖父は絵を描く。その影響もあって、私も幼いころから祖父の手ほどきを受けてきた。しかし、それは私にとってあくまでも趣味の一つだった。私がどんなに望んでも、祖父母は芸大に進むことを許してはくれなかった。2人はかたくなに反対したのだった。その時から、私は絵を描くことが徐々に少なくなっていった。

 そんな中、私は今、久しぶりに絵を描いている。

私は毎日、暇を見つけては少しずつ絵を描いていた。おぼろげで繊細なそれを丁寧に、ゆっくりとカンバスに写し取っていった。
壊れないように。
大切に。
大切に。



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